過去ログ 「下手に言葉を覚えたもんだから」

タビストの卵

2009年07月06日 21:03

言葉以外の表現手段を持っている人は幸せだ。




「あなたはどう思う?」
そんな質問に正確に答えることは難しい。
だって言葉は僕の気持ちを100%伝えてくれないから。



例えば、

「好き」という言葉は、順風満帆な恋愛を送ってきた人には
愛らしいピンク色に見えるかもしれない。
けれど、辛い失恋を繰り返した人には、
そこに痛々しい黒が混ざり、ダークレッドに見えるかもしれない。


言葉は不便だ。


同じ日本で育ち、同じ言語を使っても、
皆自分の人生と照らし合わせて言葉を理解する。
ならば人生が十人十色である以上、
気持ちを言葉で正確に共有できないことは当たり前の事なんだね。



そう。
だから僕は気付いてしまったんだ。
人って究極的に言えば一人ぼっちだってことを。


自分の中で自分だけの世界を創り上げるしかない。
例えそれをシェアできないとしても。





「あなたはどう思う?」

そんな質問に答える時、いつか書いた文章が役に立つ。
書き落とした言葉だとスラスラ言えるから。


でも僕はたまに書ききれなかった感情の欠片たちに思いを馳せる。


言葉を書き落とすことで心の中を整理するという。
けれどそれは同時に書き落とせなかった感情を捨て去るということだ。



ごめんね、捨ててしまった僕の欠片たち。
僕の脳のキャパはそう大きくないから…。
またいつかひょっこり顔を出して欲しいな。
その時はしっかり受け止めるよ。